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第15号 長岡 勉さん 「感動とロジック、その両立が重要です」 |
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今回は、pointの長岡勉さんを訪ねました。
六本木のビルのワンフロアにクリエイターが集まるスペース「co-lab(コー・ラボ)」があり、長岡さんはそこにいらっしゃいました。「ゆるい」という関係、感動と楽しさを誰かと共有しながらものづくりを行う、など、独特のものづくりのスタンスのお話を聞くことができました。 長岡 勉(ながおか べん) 1970年 生東京都生まれ。 慶応義塾大学環境情報学部卒業、同大学院政策メディア研究科修了。 1997年〜2001年 山下設計勤務。 1999年〜 pointを設立し活動をはじめる。 2003年より森ビルと共同でクリエイターの為のシェアオフィス“co-lab”の企画運営 を開始。 pointのURL www.point-tokyo.jp/ |
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小林: |
まず、この「co-lab」という場所について、教えていただけますか? |
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長岡: |
このスペースは、森ビル文化事業部のワークショップ形式のスクールとして始まった場所です。それを、授業をやっているときしか使われていないというのは、もったいないじゃないですか。それで、スクールのアシスタントやっていた僕ともう一人の運営管理をしている田中の2人で、普段使っていないない時はクリエーターやデザイナーのシェアオフィス+ワークスペースにして、同時にその仕組みもつくっていこう、と。そして、森ビルの文化事業部に提案したところ、企画運営を委託されたというわけです。 共用スペースと占有スペースがあって、今は50人前後でシェアしています。ここは、メンバー制をとっていて半年ごとに更新します。占有スペースは2m四方のブースになっていて個人のオフィススペースみたいな感じです。ここが共用の作業スペースで大きいテーブルがあって、模型を作ったり、あと共用パソコンがあってメンバーは自由に使えます。さらに半屋外のベランダがあって、木工とかの作業ができるスペースになっています。 |
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小林: |
充実していますね。スペースを借りている方の内訳は? |
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長岡: |
グラフィックデザイン、建築、プロダクト、インテリア、ライター、家具職人、画家、webデザイン、プランナー等、わりとバラついてますね。何か仕事が来ると、だいたいこの辺の人を誘って一緒にやることが多いですね。 個々人はバラバラなんだけどちょっとずつ繋がって一つのまとまりがつくられるんです。そういう全体像のあり方には興味があります。 また、非常にオープンな場所なんで、お互いの活動がよく見えます。そういう中でコミュニケーションとって仕事ができるのは、割といいなと思います。 |
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小林: |
「point」というのは4人のメンバーですが、いろんな方がいらっしゃいますね。 |
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長岡: |
僕が設計とかデザインをするときの受け皿として「point」というのをつくりまして、プロジェクトごとでいろんな人とやれればいいな、というのがもともとの始まりです。でも、それはかなりゆるい集まりで、実態としてはこの4人全員で何かをまとまってやっているということは、ほとんどないです。 |
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小林: |
なるほど。面白いですね。 |
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長岡: |
そうですね。ゆるさばかりが強調されるのも問題なんですけど。普段はお互い自立していて、逆にプロジェクトごとには密につながれる仕組みができるといいなって思っていました。ある程度のバッファがあって、それぞれが独立して活動しているけども、プロジェクトによってつながるっていうのは、仕組みとしては理想的であるように思うんですよ。お互いの負担が少なくなって。ただそれをつくっていくためには、ある程度の関係が持続していないと難しいので、そういう関係をどうやってつくっていくかが大切です。だれにでも、よく一緒に仕事をする人っていますよね。それと同じっていえば同じなんだけど、場所を共有している分、情報も共有できていますね。 |
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小林: |
感覚的にも乖離が少なくなってきますね。 |
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長岡: |
そうです。それに日常の中にある一見無駄な情報に価値があるっていうことを、みんな多少意識している人たちなんですね。そういうのを楽しんでいるっていうか。 |
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福間さんのつくる「ten-sen」というモノ● |
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小林: |
あえて、マチをつくったりしないで、こういう隙間に入れるっていうのも面白いですね。 |
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福間: |
なにか、直接的でしょ?すごく(笑)! |
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鄭: |
使い方が変わって、ここを広げたいとなったら、間仕切りを移動させたりとかできるわけですよね? |
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福間: |
そうですね、そういうこともできますね。ものを組み立てるのが好きな人とか、デザインするのが好きな人に、好まれるみたいですね。編集者とかも。自分の荷物は自分なりにデザインしていたいという感じで。配置とか、そういうことにこだわる人に。 |
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小林: |
穴あけ加工をした状態で売ったりはしないんですか? |
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福間: |
その状態で売ることも可能ですけど。これ、簡単そうに見えて、縫うのは結構大変なんです。 |
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小林: |
いえいえ、簡単そうにはみえません・・・。その状態でくれ、と言った人は? |
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福間: |
それは、いないですね。 |
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長岡: |
考え方としては、キットとして売るのはありますよね。 |
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福間: |
あるとは思いますけど・・・。やり始めてすぐにね、だめになるとおもいます(笑)。 |
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小林: |
組み立てるのが好きな人は、やりたがるだろうなと思います。 |
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福間: |
そういう人には、手伝ってもらいたいですね。 |
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一同: |
(笑) |
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鄭: |
「じゃあ!」って言って、ダンボールに図面とパーツが送ってきて、「いつまでにお願いします」って。(笑) |
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小林: |
内職みたいだな…。 この、肩ストラップがバッグの幅そのままの延長だというのも、直接的ですね! |
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鄭: |
いまは、どうやって売られてるんですか? |
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福間: |
今は、オーダーメードで。あと、ネットショップで小物は出しています。 |
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鄭: |
ネットでオーダーっていうのは? |
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福間: |
それはまだやっていないです。やっぱり、顔が見える関係じゃないとちょっとこれは・・・。ある程度規格化してやるという手はあるんでしょうけど。いまは、その人なりにつくるっていうのを楽しんでいる段階なので。でも、平行してそういうのをやっていくことも考えてはいます。 やっぱり、使う人と一緒に作るってのは面白いですよね。家とかもそうなんでしょうけど。 |
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小林: |
通常これをお願いするお客さんは、スタートからどういう流れになるんですか? |
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福間: |
最初は誰かが持っているのを見て、「かわいい!」とかいって。それで、いろんなサイズがあるってことが、後から分かって、じゃあどの大きさがちょうどいいかなと、自分の持っている鞄の中身とかを広げだして。 |
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小林: |
それは、会ったその場で? |
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福間: |
そうですね、それで間仕切りどうしようかなとか、いろいろ相談して。他のオーダーで似たものが出来そうなときに、来てもらってとか・・・。割と時間はもらいます。 |
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小林: |
何回くらいやり取りをしてから、制作に入るんですか? |
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福間: |
最初は、1?2回かな?相手にもよりますけど、全部で4回くらいになるかな。 |
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小林: |
デスクトップ・テントっていうのは?あれも革ですよね。革はお好きですか? |
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福間: |
革って存在感があって、惹かれますね。 |
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鄭: |
いいですよね。ぼくも、革すごく好きです。 |
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ものをつくるアプローチ:単位とモジュール● |
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長岡: |
デザイナーって、その人の主体性とかアイデンティティーを問われるじゃないですか?「あなたは、どんな設計をしたいんだ?」なんて。でも、本当はそんな事一言でなかなか言えない。けど、そういうことを求められるので、僕はその都度うまく説明するための言葉を捜しているんです。福間さんにとって、それは「環境の中から新しい単位を見つける」だっけ? |
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福間: |
そうね、モジュールというか・・・ |
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長岡: |
その考え方はすごく素敵な考え方だなと思います。ぼくも福間さんとは違う形ではあるけど、そういうことをしているなと思う。「ten-sen」のグリッドもそうですが、モジュールというシンプルなシステムがあるおかけで、いろんなものを収容できるフレキシビリティーがある。ぼくは、これも一つのまとまり(全体像)をつくるデザインだと思っています。だから、環境から単位を発見するっていうのは面白いなと思うんです。 ぼくは、ばらばらに存在するモノ同士が少しずつ関係しあって、それがひとつの連続した全体像をつくる、というあり方に関心がある。逆に、上から明快なルールが全体にかぶさることで、部分に影響を及ぼすやり方にも興味がある。昔は、デザイナーは一貫したアイデンティティーをもってデザインしなくてはいけないと思ってたんだけど…。最近は、まとまりのある全体像をつくるのにもいろんなアプローチがあって、その様々なバリエーションを開発していく方が、一貫性を求めるよりもよいかもしれないと思っている。 そういう、いろんなアプローチの中で、ほんとにそれで気持ちがいいとか、力強いとか、感動するとか、受け手の素直な感情を、フィードバックする仕組みがあると思う。、僕はそれをハンドリングする方法自体がまだ少ないような気がしています。 |
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福間: |
単位といっても、物理的な単位っていうことのみならず、いろんな意味の単位があると思うんですよね。で、デザイナーってそういう単位を作ることだなーと。まあ、アフォーダンスのまとまりみたいなことだと思うんですけど、人によってそのアフォーダンスのつくり方って違うと思うんですよね。それぞれ個性がデザインにはあって、そういう違いもそういうところから感じていると思うんです。そういう、デザイナーのやっていることに興味があるんです。それで・・・、これ「d/SIGN」っていう雑誌なんですけど、今号から私の記事が連載になりまして・・・、 |
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連載「超デザインJPG」● |
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小林: |
なるほど。 |
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福間: |
その関係を出してみたら面白いんじゃないかと。要するに、デザイナーっていう動物が、都市の中で何を見ているのか、それを課題としてどんなものをつくろうとしているのか、ということをね。で、長岡さんにも登場してもらって・・・。全体的に生態心理学からみた観点で書いています。 |
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小林: |
「超芸術トマソン」に影響を受けたとか? |
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福間: |
そう、それでこれも「超デザインJPG」と。トマソンとJPGってすごく対比的だなと思っていて、個人的に。 |
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小林: |
JPGっていうのはjpegの拡張子のことですか。 |
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福間: |
はい。トマソンってみんな熱く迎えたのに、あんまり役に立たなかったものですね。それがアート的な見方とちょっと関係して、そこに“超芸術トマソン”っていう概念が起こって、面白いなと思ったんです。かたやJPG(画像)って、みんな熱く迎えるつもりはなかったと思うんですけど、気がついたら周りのやり取りする画像はみんなjpegになっていた。それから、デザインてのは機能があるものなんで、すごく単純に “芸術“に“デザイン”を対比させて、「超デザインJPG」という名に。 |
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長岡: |
デザイナーって物事をどうハンドリングするかっていう方法論が必要になるじゃないですか。でも、やっている人間がほんとにそれを楽しんでいるかとか、感動しているかってことも、重要ですよね。物をつくるときに、そのフィードバックが行われているものはリアリティがあるんですよ。主観的な好みはどうであれ、主観的な思い入れや、感動があったり、楽しんでることが見えたりすると、それがつくり手として正しい姿だな、と思うんです。 こういう町を見る視点って、なんかこれ変だなとか、気になるってのが最初のモチベーションですよね。それを、モノをつくる方法論にフィードバックするときに作り手がいて、また、福間さんっていう第三者がそれを解釈して書くっていうのは結構面白いなって思う。 これ一見すると、いろんな人のアプローチってばらばらじゃないですか。ものをつくる方法論は、人それぞれだし、並べてコメントしたところでデザインの具体的な方法論は直接見えないかもしれない。でも、その人はなにか気になって、それがどういう形になるかって、お互いを結びつける回路としてはゆるいような気もするし、一番本質的につながっているところである気もする。それが、福間さんを介してちょっと見えてると、おもしろいな。 デザインの根底にモチベーションがアウトプットにリンクしてくる様が少し垣間見える。そういうことは重要だなと。この「co-lab」みたいな場所を作るときも、そうなんですよね。この場所のエッセンスって、人がどう楽しんで、どう使っているか、という部分だったりします。その状況は、あまりにも様々な要素が絡んでいるので、具体的な相関関係っていうのは見えずらいけれど。どこかでそのゆるいけどおおまかな輪郭がみえてくるとよいのではないかと、 |
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小林: |
それが見える人と、見えない人がいるんじゃないですか。 |
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長岡: |
それは人ソレゾレの解像度の違いで、福間さんはそれ見えるっていうタイプなんだよね。 |
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福間: |
まさにそのことを書いてるわけだから。 |
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長岡: |
そうだよね。僕は何かもうちょっと具体的に見える相関関係に興味がある。モノが作られる時の、つくるルールとそれが実現した時のあらわれ方の関係に興味がある。僕はその関係をさらに細かく切り分けてとらえたいんですよ。ゆるくぼんやりと捉える事で逆に、全体性を明確にとらえることができることもあれば、もっと厳密に関係性をとらえることもあって、その両側をちゃんと位置づけてデザインすると、デザインの幅や可能性が出てくると思います。 |
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小林: |
この写真は撮っている人の方が、その相関関係には気付かないんでしょうね。 |
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福間: |
意識している人と意識していな人がいますよね。だから、逆に言うとディテールに入ったところまで、私が書いちゃうべきではないわけですよ。その人のデザインなんだから。私は、その人がポンと立ってる状態がどういうものなのかっていうことに興味があるんで。 |
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小林: |
なるほど。 |
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鄭: |
とらえ方としてはすごく面白いですね。 |
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長岡: |
僕なんかは、解釈によって意味が発生するというのが好きです。なんていうか、ある視点なり状況があって、それを追って行くと全体として違う捉え方が表れているというものには、発見があるような気がして。都市とかそういうところを歩いているとそういうが発見がある。 |
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福間: |
これ1個だけを見ていたて、しかもそれがパソコンの中に眠っていたりしたら、これが面白いとか面白くないとか、そういう話もなくなっちゃうけど、こうして実際に並べた時に明らかに何かあるじゃないですか、そこが面白いんですよね。だから、こういうことを見ている人が、こういうものを作っている、というのがプレゼンしたくて。 |
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鄭: |
確かにそういうまとまりとしての意味合いを見いだせますよね。この中にね。インプットで受けているものをどう意識しているかっていうことが、やっぱりアウトプットに影響して来るってこと。 |
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小林: |
確かに、人によって明らかに違いますよね。 |
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鄭: |
こう見ていると、フレームの中に対象をどのようにおさめるかっていうことも、その人の思っている何かを表出しているような気がしますよね。 |
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長岡: |
それを言われると、僕自身は何も考えてないみたいで結構つらいかも(笑)。僕のはもう単なる状況の“記録”なんですよ。このフレームへのおさめ方自体意味があるんじゃなくて、そこにでおこっている関係性だけに興味をもってパシャって撮るだけだから。 |
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方法論と感動のフィードバック● |
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長岡: |
この写真は部分から全体を作るっていう考えのきっかけになったインスタレーションで、ライト・シャドウといいます。何か、バラバラなものを、そのままの状態でうまく全体としてまとめる新しいルールを発見できたら面白いかなと思っていて、実験的にやったものです。小さな空間って、イスとか壁とか書類とかバラバラなものがわりと近接してありますね。そういうモノ同士が近寄っている関係を、どうにかデザインできるといいなと思ったんです。ここでは、あらゆるものの裏面に色を塗るということをやりました。椅子の裏面に色が塗られることによって、その椅子を壁に近づけると反射で壁に色がつく。そうすることで壁と椅子っていうバラバラなモノの間に関係性が生まれる。このお皿の裏にも色が塗ってあります。二つのものの関係性で起こっていることが全体のルールとして適用されることによって、それぞれのモノのキャラクターを維持したまま、空間の質と呼べるような全体像が作られるっていう。 このアイディアを展開して、画廊でのグループ展に参加しました。他の人は壁に絵を飾っていたので、来場者がくつろぎながら絵を見れるものを提案したいと思ったのが一つと、みんな壁に展示しているので、床をもっと積極的にデザインでしたいと思って。 ![]() このギャラリーの空間が、床も壁も白かったので、ここでは座面の高さの違うスタッキング椅子をデザインしたんですけど、各座面の裏に色が塗ってあって、その座面の高さを変えるという非常に局部的なルールを1個設定することで、床に写り込む色の量が変わるとか、椅子のサイズも変わって子供も座れたり、っていうことにも発展していく。スタッキングさせた時とバラした時とはまた違う姿があるとか。局部的な関係から物事が生まれているのだけれども、それが周りにあるいろんなものと関係していくことは面白いなと思って。関係性をデザインしていくことで、単体の家具のデザインだけでなく空間とか場をつくることにつながるのは、建築的だなと思っています。 ![]() それで、この展示を見てくれた人の紹介でやった仕事がこれなんです。これは琉球大学にモニュメントを立てるっていうプロジェクトです。このプロジェクトは福間さんとのコラボレーションでデザインしています。沖縄って日差しが強いので、それを積極的に利用した現象をつくり出せないか、そこからパブリックスペースがデザインできないかっていうのが、そもそもの発端です。あともうひとつは、キャンパスに植えられたガジュマルの木漏れ日の下で学生が集っている風景がありました。この風景が結構素敵で、その木漏れ日に人工的につくったオブジェは絶対かなわないと思いました。そこで、人工物だからこそ可能な木漏れ日をつくりたいなと思いました。これが表は白いんですけど、裏にシアンとマゼンダとイエローの三色が塗ってあるんですよ。ただその三つの壁の距離の離れ具合で、たとえばこの青い色が反射して、黄色い面が黄緑色に見える。距離で反射具合が変わることで、こっちはオレンジ色に見えて、こっちは黄色っぽく見えたり。(photo提供:point) |
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福間: |
レインボーの色感みたいなものが見える。 |
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長岡: |
三色の距離の違いで、人工物にしかできないような色と光のグラデーションをつくるっていうことです。普通はCMYを合成して色をつくるものだけど、これはそれを反射で行っている。これまでのライト・シャドウは「影」を扱っていたので、使われる環境が限られていたんですけど、色と色の距離で新たな色をつくれるっていう発見によって、新しいライト・シャドウができましたね。これは、福間さんが発見して、自分たちでも目からうろこでした。これ、実際反射する距離の設定がシビアで、その辺はかなりいろいろ検討したんだよね。 |
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福間: |
もちょっと離れちゃうと、反射しなくなってきちゃう。 |
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小林: |
福間さんがこのアイディアを発見したきっかけは何ですか? |
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福間: |
いや、何でしたっけ・・・ |
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長岡: |
いろいろスタディーはしてたんだよね。 |
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福間: |
そうですね。反射するてことを、大きくダイレクトに出すような組み合わせが面白いと思って。あと、どの色を選んででも嫌味に見えないようにしたかった。 |
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小林: |
これは、晴れた日と曇った日ではまた見え方が違うでしょうね。面白いですね。 |
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長岡: |
さっきの話に戻すと、あるルールや方法を設定したことと、それが結果として体験者側の視点で感動できるか、面白いかというのを、チェックしてルールにフィードバックすることが重要だと思います。それなしに、方法の整合性や論理性だけで完成度を上げるのは、モノゴトを豊かにしないと思っていて。だけど、一方で感動できるかとか、気持ちいいかっていう感覚だけだと、全体をつくりだすルールが骨抜きになってしまう。その両方をどれだけちゃんと作り手が見つめているか、それを謙虚にチェックできるかが大変なことだけど、重要なことだと思います。ものをつくるということはそのプロセス自体につくり手の思い入れがどんどんたまっていって、それを客観的に評価できずらくなる。どれだけ面白いか、感動できるか、全然関係ない第三者にどれだけ伝わるか、といったことをどれだけ客観的にズームバックして見れか、そこをしっかり目指そうとしているか、といったことこそが重要でもあり、難しくもあると思っている。 |
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鄭: |
せめぎ合いですよね。一生懸命構築したロジック、素晴らしいロジックができあがったと思って、そのロジックの上に構築してみたら、建物はつまんなかったでは、結局何も生んでいないのと同じなんじゃないですかね。 |
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長岡: |
そうですよね。 立場の違う人でも、それが本当に面白いか面白くないかということは素直に感じるじゃないですか。 |
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小林: |
そうですね。 |
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長岡: |
それをいかにつくる側の方法論に取り込めていけるか。もしかすると、さっきの福間さんが言ったような、非常にズームバックした視点で、オープンに日常のささやかなことを楽しんだり、見るっていうことなのかも知れないんですけど。つくる側の方法論と受けて側の感じ方をどうフィードバックするか言ったときに、エンターテインメントの精神というか、子供でもわかって面白いと感じれる、そういうことに今はちょっと興味があります。例えば先ほどの「レインボーカラーで綺麗」って、みんなに伝わる話ですね。その受け手への伝わり方はベタだけど、作り手として作られ方や現象としての現れ方は新しいという感じ。 |
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小林: |
色っていうことと、三色でこういう色のできてるっていうのは、それは非常にシンプルな意味でわかると思いますけど、できている効果としてはすごく別次元に飛んでいる気がしますよね。 |
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感動と楽しさによって強度が増す● |
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長岡: |
これはマンションのリノベーションで、エントランス共有部分をリノベーションしてくれというプロジェクトでした。エントランスとピロティのデザインっていうのが結構切り離されていて、それをどういう風に全体化するか、っていうのがデザインのポイントだなと思っていました。でも、ピロティは公開空地だったので、結構いろいろ制約がありました。つまり、公開空地とい制約の上で、住んでいる人のためになるリノベーションができないか、住んでいる人の庭みたいなものとしてどうにかつくれないか、と思ったんですね。 |
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小林: |
庭ですか。 |
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長岡: |
人がくつろげるような場所をつくろうってことを考えたんですが、リアルな木と照明とグラフィックがちょっとづつオーバーラップしながら外壁に連続していていくんですよ。この緑の縞状のスリットっていうのが、今度はエントランスに入ると、塗装に替わって緑の壁が連続していくと。本物の木もあれば、緑っていうテーマにかかっているも照明もあれば、それら全体でアプローチというわかりやすい環境がつくられているんですけど、隣接する場所がちょっとずつ関係して連続していくことで、全体像がつくられる…。 |
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小林: |
これは、長岡さんの言う風景のでき方なんですね。 |
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長岡: |
そうですね。 別のマンションのリノベーションでは、住戸に仕事をしたり生活する場所をローコストでつくってほしい、あらかじめこういう押入れとか収納もつくっておいてくれ、ということで。住戸には窓があって、引き違いの扉があって、ベランダがあって、収納があってその中身を隠したいから扉を閉めて、窓の前にはカーテンとかをつける、とかやっていると、小さい空間がもっと狭く感じられる。それはよくないと思ったので、その小さい空間を一つの統一したスクリーンで包むということを考えて、ブラインドで四方を覆っているんですよ。玄関から入ると正面が簾状のスクリーンになっていて、入ってきた人からの視線をコントロールしたり、閉じるとホントに緑色のストライプの空間に包まれた感じになります。物を収納するたびにあげたりさげたりっていうのはその機能だけを見るとめんどくさいかも知れないですけど、こうやって全体をコントロールできると、これが空間のグラフィックイコライザーみたいな感じで、ものの透け具合と上げ下げによって、空間の質を使い手がコントロールできるじゃないですか。使い手がどういう風に使うか分からないから、空間はシンプルな箱でいいって考え方もあるとは思うんですけど、一方で使い手が自由にコントロールできるってところに、積極的に踏み込んでいくことで、空間を操作すること自体が使い手の喜びになると思ったんです。この空間はその人固有のものになって、逆に空間に愛着が湧くのかなと。(photo提供:point) |
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小林: |
さっきのとは逆の手法、考え方なんですね。 |
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長岡: |
こういうのって、手法で考えていくと論理的に整合性が無かったりするじゃないですか。だけど、その場その場で考えていることと、最後のフィードバックとしてその空間を使い手が、使いこなしたときに楽しいかとか、感動できそうかとか、そういうのをいろんな人の視点でチェックできているかっていう、それが重要かなって思います。 |
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小林: |
楽しめているかどうかっていうのは、最後のチェック機構なんですかね。 |
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長岡: |
そうですよね。 これは、また別のリフォームで、マンションをオフィスにするということで、でもホントにお金が無かったんです。オフィスのベース照明っていうのは、ただ部屋を漫然と明るくすればいいって機能しか求められていないからそういう質のものしかできていなくて、デザインとしては取り込めていないなと思いました。で、ここでやったのは、ベース照明をポジティブに使えるようにするために、ワイヤーを張って、この照明が自由に動かせるようにしたんですよ。そうすると、たとえば照明を丸く配置することもできるんです。使い手が空間の全体像をコントロールできるわけです。そこに使い手の思い入れが発生するじゃないですか。そういう関係が結構重要だなと、思っています。 |
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小林: |
なるほど。 |
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長岡: |
マンションのリノベについても、照明の色は他の人に選んでもらっていて、バランスとか別の次元でこういうものをハンドリングしている人たちがいて、そういうのを取り込みながら一緒にやっていくと、アイデアに強度が出てくるというか。 |
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小林: |
強度ですか・・・ |
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長岡: |
深さなのかもしれない。シンプルで明快なものってやっぱり強いなと、建築にはそういう力があると思うので、そういうものに対して憧れもあるし、人に感動を与えるようなデザインしようとすると、そういうことが重要だなとも思うんですよ。ただ、感動っていうのは外側からくるもので、楽しむって感覚は自分の具体的な行為とものの関係が自分の中でつながったときに発生しますね。あるものの使い方とか使われ方につながっています。ぼくはそこをつなげられるデザイナーがいれば、もっと豊かなフェーズにいけると思うんです。ぼくは、わりとそういうベタなことに興味があるし、そういうことを意識的にできると思っていて、自分がそこを開発したいと思っています。その部分を誰かと共有できると、すごく楽しいと思いますね。 |
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都心の六本木で、若いクリエイターたちが集まって創作活動を行っている様子は、とても刺激的で魅力的なものでした。co-labは今の場所から移動する計画もあるそうですが、どんな場所でもその活動は継続していただきたいと思いました。 |
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聞き手:鄭、小林(生活普段議 www.cabbage-net.com/seikatsu/) クレジットのない写真はすべてキャベッジ・ネット撮影 無断複製、転載を禁じます。 |
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